ロート製薬のアイケアは、1909年に誕生した「ロート目薬」から始まり、100年以上にわたり人々の目の健康と真摯に向き合ってきました。
この長い歩みの中で、私たちは時代とともに多様化する目の悩みに寄り添い、目薬だけでなく、洗眼薬、コンタクトレンズやそのケア用品、サプリメントなど、幅広い製品を通じて新たな価値を生み出してきました。
現代は人生100年時代と言われる一方、目は、加齢に加え、デジタル環境や生活習慣、外的刺激などさまざまな要因の影響を受けており、生涯にわたって目の健康を維持することは容易ではありません。
こうした課題に向き合うため、私たちは外部の専門家とも連携し、目の構造・機能・細胞レベルに踏み込んだ研究を基盤に、誰もが自身の視界を健やかに保てるような製品開発を進めており、近年は、医療用点眼薬やデバイスの研究開発にまで領域を拡大しています。
目薬販売国 2026年5月現在
現在、ロート製薬の目薬は世界40か国以上に展開されており、その取り扱いは年々広がっています。各国の規制に丁寧に対応し、世界中の人々の目の健康を支えています。
今後も、科学的根拠に基づく研究と技術を礎に、予防、未病から治療までを見据えたソリューションを展開し、世界の「見える」を支えるアイケアの総合プロバイダーとして進化を続けていきます。
【事例紹介】
潤い・保護・再生:涙から幹細胞までを科学する、眼表面研究の最前線
常識にとらわれない挑戦:薬事を踏まえつつ、新しい価値を生み出すには
新たな価値を創る次世代アプローチ:アイケア×〇〇〇〇!
潤い・保護・再生:涙から幹細胞までを科学する、眼表面研究の最前線
涙の研究から生まれた、乾き目に対するアプローチ
近年、デジタルデバイスの長時間使用やコンタクトレンズの常用、加齢などの影響により目の乾きを訴える方が増加していますが、その背景には、涙の量や質が乱れる「涙のトラブル」があります。
涙の質が低下することでドライスポットが発生し、眼の表面をうまく覆えていない状態のイメージ図
涙には主に2つの働きがあります。1つ目は、「目の表面を覆い、乾燥や刺激から守る」働きです。目の表面を潤す液層(水分+ムチン)、水分の蒸発抑制や涙の広がりに作用する油層のバランスが崩れると、涙の質が低下し、乾きやかすみの原因となります。
私たちはこのメカニズムに着目し、液層と油層を安定させる処方技術の研究を重ねた結果、涙の蒸発を抑えつつ角膜表面を守るための、最適な界面活性剤の種類と比率を見出しました。
細胞への摩擦刺激によるIL-8のmRNA発現量/MUC16のmRNA発現量の変化とポビドン(PVP)による効果
もう1つは、瞬きをスムーズにする「潤滑油」としての働きです。私たちは1日に約2万回、瞬きをしています。涙の質が低下すると、瞼と目の表面に摩擦が生じやすくなり、不快感や異物感につながります。
私たちは、角膜上皮細胞の研究から、摩擦が、炎症性サイトカインであるIL-8を増加させ、涙の保持に重要な膜型ムチンMUC16の発現を低下させること、さらに目薬の有効成分であるポビドンがこれらを抑制することを見出しました。
こうした研究を元に、今後も涙のトラブルに向き合う技術を磨き続け、世界中の人々により快適な「見える」を届けていきます。
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コンドロイチン硫酸エステルナトリウムの知られざる個性を分子レベルで解明
デジタル化が進む昨今、私たちの目には大きな負担がかかっています。特に角膜や結膜では、「バリア(細胞同士が隙間なく並び刺激などを防ぐ仕組み)」や「潤い」を保つ機能に強いストレスが生じます。
コンドロイチン硫酸エステルナトリウム(CS)は、古くから眼科の臨床現場で角膜保護などに使用されてきた成分であり、その安全性と生体適合性の高さから幅広く研究されてきました。私たちはこうした知見を基盤に、CSの「分子特性」にまで踏み込んだ研究を進めています。
特に着目したのは「CSが、構造や分子量の違いによって特性が変化する」という点です。
例えば、分子量の異なるCSを比較し、分子量の大きい高分子CSが角膜上皮細胞に対して高い保護効果を示すという知見を得ました。また、目の潤いや保護に関わる因子の発現においても、高分子CSが細胞接着因子OCLN、膜型ムチンMUC16の発現を促進することを見出しました。さらにCSは製造原料や製造法の違いによって構造や分子量が変化し、その違いが作用にも影響しうるという点も確認しています※1。
このように、ロート製薬のCSの研究は「CS=単一素材」という枠から、「分子量や構造が異なるCSを目的に応じて使い分ける」という新しい視点へとシフトしています。今後もさらに知見を深め、より高い価値を持つアイケア技術に向け、研究を続けていきます※2。
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世界初!多能性幹細胞から機能的涙腺オルガノイドの誘導
ヒト涙腺オルガノイドの顕微鏡写真
私たちの目を守る「涙」。その涙をつくる涙腺が壊れてしまうと、目が乾いて痛みや見えにくさを引き起こす重いドライアイになります。現在の治療は症状を和らげるものが中心で、根本的に治す方法はほとんどありません。
ロート製薬は2010年代から大阪大学と再生医療に関する研究を行っています。その中で、この悩ましい症状を根本から治す可能性がある、涙腺の小さな立体組織、「涙腺オルガノイド」をヒト誘導性多能性幹細胞(iPS細胞)から作り出す研究に関わり、成果の一端を担いました。
ヒトiPS細胞由来涙腺オルガノイドとヒト涙腺組織の模式図
この涙腺オルガノイドは、培養器で管が伸びたり枝分かれしたりと本物の涙腺のように成長し、さらに動物に移植すると涙に含まれるタンパク質などを発現することを確認しています。
この再生医療技術は、将来「機能が低下した涙腺の代わりに、新しく作った涙腺を移植する」という、夢のような治療を現実に近づけるもので、目の乾きに悩む多くの人に、新しい希望をもたらす可能性を秘めています。
今後も、オルガノイドなどの組織を活用した研究を通じて再生医療の新たな可能性を探り続け、未来のアイケアにつながる技術を磨いていきます。
出典:Hayashi R. Nishida K. et al., "Generation of 3D lacrimal gland organoids from human pluripotent stem cells," Nature, 2022.
©Springer Nature. 本図は Springer Nature の許可を得て転載しています。
(原論文:https://www.nature.com/articles/s41586-022-04613-4)
参考 大阪大学の研究専用ポータルサイト
提供:大阪大学 眼科学教室 脳神経感覚器外科学 教授 西田幸二
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2022/20220421_1
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常識にとらわれない挑戦:薬事規制を踏まえつつ、新しい価値を生み出すには
国内初!ソフトコンタクトレンズ装用時にも使用可能な、かゆみ対策目薬の開発
1990年代以降、ソフトコンタクトレンズ(SCL)の普及に伴い、装用時の快適性を求める声が高まりました。その中で、「目の乾き」以外にも花粉などによる「かゆみ」に悩む装用者が多いことが分かってきました。
しかし、当時の規制では、SCL対応目薬は「目の乾き」を対象とするものに限られ、「かゆみを抑える成分」を配合することは認められていませんでした。
そこで私たちはこの課題に正面から向き合い、規制の見直しに挑む決断をしました。
処方開発では、市場にあった全SCLに対して成分の吸着やレンズへの影響を徹底的に検証し、安全性と有用性の両立を実現。SCL対応目薬の新たな可能性を拓く製品であったため、誤用防止策や情報提供体制の整備など、業界全体で取り組むべき課題にも丁寧に対応し、2009年、「ロートアルガードコンタクト(第3類医薬品)」として承認を取得しました。
Vロートコンタクトプレミアム(第3類医薬品)
SCL装用者に新たな選択肢を生み出したこの挑戦を契機に、それまで「目の乾き」が中心だったSCL対応目薬は、より幅広いニーズに応えるものへと進化していきました。現在では「Vロートコンタクトプレミアム」(第3類医薬品)など、SCL装用者のさまざまな悩みに応える製品を展開しています。
今後も研究と技術を磨き、既成概念にとらわれない発想で新たなアイケアを提案し続けます。
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一般用医薬品の新たな可能性に挑んだアルガード®シリーズの開発
一般用医薬品(OTC)では、多様な有効成分を用い、製品を提供することが可能です。ただし、その組み合わせの前例がない場合、有効性と安全性を確認するプロセスが必要になります。必要に応じて臨床試験を行うなど、慎重な検討が欠かせません。
1987年にかゆみ対策目薬「ロート点眼薬アルガード」を発売して以来、私たちは30年以上にわたり花粉症と目のかゆみに関する研究を続けてきました。
2009年には抗炎症成分プラノプロフェンを、2013年には抗アレルギー成分トラニラストをOTCとして展開してきましたが、花粉症によるかゆみや充血など複数の症状に対応するため、その後、両成分を同時に配合する目薬※3の開発にも挑戦。前例のない組み合わせであったため、改めて臨床試験を実施し、OTCとして新たな選択肢を提供できるようになりました。
ロートアルガードエピナスチン点眼薬(要指導医薬品)
さらに2026年には、医療用医薬品からスイッチした抗アレルギー成分エピナスチン塩酸塩を、医療用と同成分・同量※4配合した「ロートアルガードエピナスチン点眼薬(要指導医薬品)」を発売。アルガードブランドは、より幅広いニーズに応えるラインアップへと進化しました。
「目のかゆみにはアルガード」として長く支持されてきた本ブランドは、確かな効果と使用感へのこだわりにより、市場で高いシェアを維持しています。
今後もアレルギー領域の研究を深め、薬事規制を乗り越えながら、新たな価値を届けられる製品づくりに取り組んでいきます。
※3:ロートアルガードクリニカルショット(第2類医薬品)
※4:エピナスチン塩酸塩0.05%
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新たな価値を創る次世代アプローチ:アイケア×〇〇〇〇!
万博来場者データから得られた「生活習慣と目の健康」の関係性
私たちは、一人ひとりが自身の目の状態を把握し、適切なケアや生活習慣を選択できる未来の実現を目指しています。その実現に向け、AIによる画像解析やパーソナル・ヘルス・レコード(PHR)を活用し、目の状態を「見える化」する新たなアイケアの仕組みづくりを進めています。
この取り組みの一つとして、2025年開催の大阪・関西万博の大阪ヘルスケアパビリオンでは、顔写真から目の年齢※5を非接触で推定する「セルフアイチェック体験」を実施し、来場者の皆様に自身の目の状態を確認いただける機会を提供しました。
また、ブース体験の一環としての、体験者10万名を超える目のビッグデータの解析からは、目の年齢が実年齢より若い方はモニター視聴時間が短いという傾向、40~60代ではモニター視聴時間が長くなるほど目の年齢が実年齢相応、あるいは上回るという傾向が明らかになりました。これらの結果は、日常の過ごし方が目の状態に大きく影響する可能性を示唆しています。
今回の体験では、来場者の皆様が自身の目の状態を把握できたという個の価値に加え、生活習慣と目の健康の関係性に関する新たな示唆が得られた点でも意義がありました。
こうした知見は、今後一人ひとりに合わせたケアの実現を支える基盤となり、アイケア研究を新たなステージに前進させる可能性を秘めています。
今後も、テクノロジーと医療を掛け合わせたアプローチを通じて「未来のアイケア」を探求し、目の健康を支える価値を世界に届けていきます。
※5:目の表面や目の周りの皮膚表面の状態などを画像データから解析し、推定された見た目の年齢
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