1975年のメンソレータム発売を機に、私たちは外用医薬品分野へ本格的に進出し、お客様の肌悩みに寄り添いながら、皮膚の根本ケアに取り組んできました。肌が本来持つ力を引き出すことを目指した研究開発は、医薬品にとどまらず、健康で理想的な肌を求める方々に向けた化粧品開発にもつながっています。
1995年には皮膚科学研究室を設立し、これまで培ってきた目に関する知見を活かしながら、エビデンスに基づく皮膚研究を開始しました。その後も国内外のパートナーとの共創を続け、現在では多様な拠点と連携しつつ、最先端のサイエンスの探求に挑戦し続けています。
その根底にあるのは、お客様の声を起点に、愚直に、そして私たち自身もワクワクしながら、新しい価値を届けたいという強い想いです。
これからも私たちは、科学的根拠に基づく研究開発をさらに深化させ、肌本来の機能を的確に捉えたサイエンスベースのものづくりに取り組んでいきます。確かな知見と技術を積み重ねながら、お客様の健やかな肌を実現するソリューションを創出し続けてまいります。
【事例紹介】
お客様の肌悩みに寄り添う製品開発
何が効く、なぜ効くのかを探求基礎研究
素材を使いこなす技術の開発研究
お客様の肌悩みに寄り添う
かゆみと乾燥に、とことん寄り添う
社員の家族の想いから生まれた、ロートの肌研究
ロート製薬は1975年の皮膚用薬事業のスタート以来、50年以上にわたり「かゆみ」と「乾燥」に悩む肌と真摯に向き合ってきました。かゆみは見た目だけでなく、睡眠や集中力にも影響を与えるなど、生活の質(QOL)を大きく左右する症状です。
私たちは、この身近でありながらも深い悩みに寄り添うため、科学と製剤技術の両面から新しいアプローチを追求しています。
この歩みの始まりには、一人の社員の家族が「かゆみで夜も眠れない」と苦しんでいたという出来事がありました。
その想いをきっかけに、「かゆみをすぐに止めたい」という生活者の願いに応える研究が始まり、皮膚科学の知見と薬効成分の最適な組み合わせを探る挑戦が続けられました。
こうして誕生したのが、かゆみと乾燥に同時にアプローチする「メンソレータム®ADシリーズ」です。
老人の乾皮症を何とかしたいという想いで、「鎮痒外皮用剤」と「皮膚軟化剤」を組み合わせ、当時としては画期的な抗ヒスタミン成分と保湿成分を組み合わせた特徴のある独自処方を実現、臨床試験により効果を確認しました。
その後ヘパリン類似物質と抗ヒスタミン成分の組み合わせでも新たに「かゆみを伴う乾燥性皮膚(老人・成人の乾皮症、小児の乾燥性皮膚)」という効能を取得。高齢者からお子様までの悩みにアプローチしています。
近年では高齢者の使いやすさを追及した新容器への挑戦も行いました。確かな効き目とだけでなく、誰もが使いやすい製品を目指しています。
さらに、頭皮、鼻、耳のかゆみにも着目、様々なお客様に向き合っています。
また、かゆみに関する研究も進め、阪大との共同研究においてはコレステロールにも抗炎症作用があることを見出しました。
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人に相談しづらい悩みに、科学とやさしさで寄り添う
女性のからだとこころに向き合うロートのフェムケア研究
ロート製薬は、女性の健康にいち早く目を向け、周囲には相談しにくい“深い悩み”にも寄り添ってきました。なかでも、女性の5人に1人が経験するといわれる膣カンジダによる膣炎は、ストレスや疲労、生活リズムの乱れなどがきっかけとなり、再発を繰り返すことも多い疾患です。
通院や度重なる治療がさらなる負担になることを踏まえ、私たちは、忙しい現代女性が自宅で安心して使えるよう、1回1錠で効果を発揮し、正しい位置に挿入しやすいアプリケータを備えた「メンソレータム®フレディ®CC1A」(当初要指導医薬品、現在は第一類)をOTC医薬品として初めて開発しました※1。
さらに、現代女性が抱える新しい悩みに応えるため、乳酸菌バリアケア発想のフェムケアブランド「LABiOME(ラビオーム)」を立ち上げました※2。
VIO脱毛後の肌トラブルや生理回数の増加、更年期にともなう乾燥など、ライフステージに応じて変化する女性のからだに寄り添い、うるおいを守りながら清潔に整える新しいケアを提案しています。
ロート製薬はこれからも、科学の力とやさしさで、女性が自分らしく健やかに過ごせる社会の実現を目指していきます。
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何が効く、なぜ効くのかを探求
サイエンスで“肌の時間”をひもとく
動物実験に頼らない、ロートの新しい老化研究
ロート製薬は、これまでの抗糖化研究やエラスチン研究で培った知見をもとに、「老化の仕組みを科学でひもとく」研究を進めています。
大阪大学との共同研究では、次世代シーケンサーを用いた多面的なオミクス解析と、数理モデルによるシミュレーションを組み合わせたデータサイエンスの手法により皮膚老化を進める新たな因子「トロンボスポンジン-1(THBS1)」を見出しました※3。
また、ビタミンC(L-アスコルビン酸)がDNAの“脱メチル化”を介して表皮細胞の増殖を促進し、肌の厚みを高めることも確認しました※4。
これらの研究は、化粧品(薬用化粧品を含む)の開発において動物実験を行わないポリシーのもと、ヒト細胞試験やヒトを対象とした研究を通じて行われています。データ主導の解析とシミュレーションの活用により、皮膚老化にとどまらず、これまで未解明だった領域に新たな価値を届けることを目指しています。
また、これらの成果は、老化やバリア機能の低下といった肌の変化を根本から捉え直す新しいアプローチにつながっています。
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肌の構造と機能を制御する「張力」研究
私たちの体内の臓器を守る皮膚は、常に外部からの力や重力に引っ張られたり押されたりしています。この細胞にかかる力が、実は皮膚の発生や再生に重要であることがわかり医療応用も進んでいますが、スキンケアとの関わりや応用可能性は十分に検討されていませんでした。
張力均衡を再現した人工皮膚モデル(中央の白い部分)
そこで私たちは、生きた皮膚の中で細胞同士が引っ張り合う「張力均衡」という環境を再現した人工皮膚を開発しました。
研究の結果、張力均衡がMRTF-Aというメカノセンサー(ハリ司令塔)を介して、コラーゲン合成とターンオーバーの促進による皮膚組織の発達だけでなく、レチノイン酸などの薬物に対する応答性を向上させる役割を持つことを明らかになりました。この結果は、肌に負荷される力の状態次第で、肌の状態が良くなったり悪くなったりする可能性を示唆し、物理的な力によるスキンケアの可能性を示唆しています。
更に、約500種類の素材の中から、シャクヤク抽出物がMRTF-Aを活性化することを見出しました。
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脂肪幹細胞の「血管再生力」に着目
私たちはこれまで、表皮や真皮といった皮膚表層の研究を中心に取り組んできました。近年はさらに視野を広げ、皮膚と密接に関わる皮下脂肪、血管、筋肉など、より深層の組織へと研究領域を拡大しています。
皮膚を単独の器官としてではなく、身体全体とのつながりの中で捉えることで、新たなスキンケア価値の創出につながると考えています。
私たちの体内には約10万キロメートルもの毛細血管が張り巡らされていますが、血管は加齢とともに減少し、40代以降では顔の皮膚内の毛細血管面積が約43%減少するとされています。毛細血管が減ることで血流が低下し、栄養や酸素が十分に届かなくなる虚血という状態が生じやすくなります。
虚血状態では血管障害による血流不足だけでなく、毛細血管そのものが消失することもあり、さらに進行すると皮膚の萎縮や壊死を引き起こす可能性もあります。加齢により毛細血管が減少すると、皮膚が薄くなることも知られています。
再生医療の分野では、幹細胞による毛細血管の新生が注目されています。私たち自身の体内に存在する脂肪幹細胞の血管再生力に着目し、数多くの化粧品素材をスクリーニングした結果、ビルベリー葉エキス、ローヤルゼリーエキス、デキストラン硫酸Naというコンプレックス素材に、血管新生を促進し血管の減少を抑制する働きがあることを見出しました。
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目周りの印象を変える「眼輪筋」へのアプローチ
私たちは目薬開発の経験を活かし、目周りの印象を支える「眼輪筋」研究にも取り組んでいます。
眼輪筋はまばたきや閉瞼に関わり、目元の形態や見え方にも影響する筋肉です。私たちは眼輪筋の維持、再生に必要な筋衛星細胞に働きかける素材を探索し、数百の素材スクリーニングから増殖促進効果に最適な植物エキスを見出しました。
目周りは皮膚が薄く、加齢の影響も表れやすい部位です。筋肉という“内側の構造”に着目することで、表面だけにとどまらない新しいスキンケアや、目に関わるフレイルの解決といった価値の創出を目指しています。
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髪のうねりを“サイエンス”でほどく
毛髪内部構造から見つけた、新しい素材の可能性
年齢を重ねるとともに髪質が変化し、うねりや広がりが気になる…。多くの女性が感じるこの悩みの背景には、毛髪内部構造の「ゆがみ」が関係しています。ロート製薬は、このうねりの原因を科学的に解明するため、髪を構成する微細な繊維「Intermediate Filament(IF)」に着目しました。
大型放射光施設SPring-8を用いて、うねりの強い髪とトステア(アミノエチルチオコハク酸ジアンモニウム)処理後の髪をミクロレベルで解析したところ、処理によってIFのねじれや乱れが小さくなることを確認。つまり、トステアが髪内部の歪みに直接作用し、うねりを整えるメカニズムの一端を解明しました。
さらに、顕微鏡観察でも処理前後の髪を比較し、毛髪表面の見た目のようなマクロレベルでもうねりが改善されることを確認しました。
この研究は、髪の見た目を整えるだけでなく、毛髪の内部から形状を制御するという新しいヘアケアの可能性を拓く第一歩です。ロート製薬は今後も、素材の機能を科学的に解析し、髪のエイジング悩みに応える研究を続けていきます。
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素材を使いこなす技術の開発
ヒアルロン酸のスキンケアへの可能性を追求し続ける
ロート製薬は2004年の「肌ラボ®」発売以来、ヒアルロン酸の可能性を素材と処方の両面から探求してきました。ヒアルロン酸には分子量や化学修飾の違いによる多様な原料があり、私たちはその特性を丁寧に見極め、最適な組み合わせでうるおいを最大限に引き出す処方設計を行っています。
さらに私たちは独自素材として、超低分子オリゴヒアルロン酸4糖「HA4」や、乳酸球菌で発酵させて得られる「乳酸発酵ヒアルロン酸(乳酸球菌/ヒアルロン酸発酵液)」を大学や素材メーカーと共に開発し、抗光老化や抗菌などユニークな機能を見出してきました。
素材開発から機能解析、製品応用まで一貫して行うことで、私たちはヒアルロン酸の価値を広げ続けています。
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ヒアルロン酸化粧水が“心地よい”と感じられる理由を探る
「極潤ヒアルロン液」は使い心地の良さで支持されてきましたが、その理由はアンケートだけでは捉えきれませんでした。そこで私たちは、好意的に感じる群とそうでない群に分け、使用中の潜在的な感性変化を脳波・脳血流・心拍などで評価しました。
その結果、好意群では塗布中に脳のβ波が低下しリラックスに近い状態が見られ、脳血流が上がることで使用感に集中していることが示されました。
さらに副交感神経指標HFが塗布後半で上昇し、肌になじむ過程で心地よさが生まれる可能性が示唆されました。スキンケアの価値は効果だけでなく、続けたくなる体験にも支えられています。
私たちは科学的に“心地よさ”を可視化し、実効感と使用感を両立するものづくりへつなげています。
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不安定なピュアビタミンCを、安定に皮膚内部まで届ける技術
ピュアビタミンC(L-アスコルビン酸)は、コラーゲン生成に欠かせない成分であり、抗炎症、抗老化、抗酸化など多様な効果を持ち、その作用は濃度依存的に高まることが知られています。しかし、光・熱・空気に弱く、高濃度で安定に配合することが難しいという課題がありました。
ロート製薬は、この扱いの難しいピュアビタミンCをより多く皮膚に届けるため、独自の製剤技術を発展させてきました。25%という高濃度アスコルビン酸の安定化に成功した後も研究を続け、アスコルビン酸を高濃度で安定に溶解し、かつ皮膚への浸透を面的に広げる、ジメチルイソソルビドという溶媒と特定のアスコルビン酸誘導体の組み合わせを見出しました。
さらに、イリス根エキスがアスコルビン酸の細胞内取り込みを高めることも明らかにしています。
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レチノールをもっと多くの人が使えるように
レチノールは、高い実効感からエイジングケアなどで注目される脂溶性ビタミンAです。しかし、有効性の高さの反面、刺激(いわゆる「A反応」:赤み・皮むけ・乾燥など)の課題がありました。
成分のIOBとレチノール浸透速度の評価結果
私たちはA反応を抑えるため、レチノールの浸透をコントロールする技術を開発しました。研究では、油剤の無機‐有機性の割合から算出される“IOB(Inorganic-Organic Balance)”値が近い油をレチノールと共に配合することで、浸透速度を緩和できることを、三次元人工培養皮膚モデルを用いて確認しました。浸透速度をコントロールした製剤では、目回りのシワ改善が見られ、使用期間中に大きな皮膚トラブルは確認されませんでした。
この技術により、レチノール配合製剤で「効果」と「安心して使える安全性」の両立が可能になる可能性を見出しました。
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匂いケアの深化に取り組む
私たちは、お客様の悩みに寄り添う中で、加齢臭は男女関係なく深い悩みであるという点に着目しました。
加齢臭の原因である2-ノネナールは水だけでは落ちにくく、少量でも強く感じるという特徴があり、研究の結果、シャンプーなどの洗髪時に2-ノネナールの髪への吸着を抑制する成分や促進する成分があることを明らかにしました。
これまでのニオイ研究で得た知見から、女性を対象に研究を進めたところ、10~20代の女性は甘い香りが強く、この香りはラクトンC10/ラクトンC11という成分で、これが年齢とともに失われることを見出しました。
さらに、ラクトンの前駆体で無臭の物質、「プレラクトン(4-ヒドロキシウンデカン酸ナトリウム)」が人の肌の上でラクトンに変化することを発見しました、
このプレラクトンは「香り」を補うだけではなく、ニオイ悩みにつながる酸っぱい・ツンとした「不快臭」と共存することで、優位にラクトンの量が増加することも見出しました。
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